ぎっくり腰には、残念ながら今のところ特効薬がありません。唯一の薬は「時間」だと言えるでしょう。完治までにはだいたい1ヶ月程度かかることが多いようです。
完治までの間に、「急性期」と「慢性期」の二種類に期間を分けることができるということは、ご存知でしょうか。急性期と慢性期では、処置も変わってくるのです。処置を間違うと治りが遅くなることがあるため、それぞれの期間に正しい処置を行うことが大切です。
まず「急性期」とは、痛みが発生してから炎症が治まり始める5日目頃までを指します。この期間での正しい処置は「冷やすこと」と「安静にすること」のふたつです。
そもそもぎっくり腰は、腰周りの筋肉がひどい炎症を起こして発症することが多いといわれています。硬直した筋肉が突発的な衝撃に耐えられず、傷ついてしまう状態が「炎症」のイメージです。
炎症が起きたばかりの筋肉には、傷口から出血をしないよう安静にすることが重要な応急処置でしょう。患部を冷やし、炎症を鎮めることも大切です。熱冷まし用保冷剤や冷感湿布で、痛むところを冷やして下さい。
冷却と安静を続けると、だいたい3~5日程度で炎症は治まってくるかと思います。炎症が治まり始めてから痛みが無くなるまでの期間が、「慢性期」です。慢性期に入ると、患部へのアプローチは「血行促進」へとシフトチェンジしていくのです。
炎症が治まり始めたら、筋肉に柔軟性を取り戻すため、血行を促進するようにしていきましょう。炎症がひどかった期間はトイレに行くのも四苦八苦していたかと思います。ですが慢性期に入ったら、極力普段の生活に戻れるよう動き始めてみて下さい。
「まだ少し痛むから」と寝たきりになっていると、ますます筋肉が硬直していくでしょう。硬直した筋肉は、負荷や衝撃に弱くなります。再発を防ぐためにも、傷ついた筋肉細胞を早く完治できるよう血流を促進させていくことが、慢性期では大切なのです。
特に慢性期に有効なアイテムは、コルセットでしょう。整形外科などで体型・症状に合ったコルセットが処方してもらえるので、ぜひ一度受診してみて下さい。コルセットは腰を大きく支えてくれるので行動範囲が広がります。
コルセットを巻いていることにより保温効果も期待できるため、血行を促進するためにも有効ですね。
また、ヘルニアを併発しているようなことも考えられるので病院での検査は一度受けておいた方が安心でしょう。
ぎっくり腰は、経過に応じてまったく対処が変わるため、自己判断がなかなか難しいです。決して無理の無い範囲で正しく症状と向き合い、治療していきましょう。